午前0時、夜空の下で
彼らの目から見た女たちは、主の退屈凌ぎにただ翻弄されているだけで。

最後には飽きられ捨てられる。

……それが、目の前の少女はどうだろう。

主が自ら用意したという黒を身に纏い、真名を呼ぶことを許されている。

未来の正妃と言っても過言ではないほどの、優遇。

けれど彼女は自分の立場に甘んじることなく、率先して城の者たちと関わり始めた。

人間である彼女は、いつ殺されてもおかしくないはずなのに。

「お気持ちは、よく分かりました。ですが、もし……陛下が反対なさるようでしたら、すぐにやめていただけますか」

アルジェンの言葉に、心はそっと俯いた。
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