午前0時、夜空の下で
キッチリと結われた髪も、スッと伸びた背筋も、愚鈍や怠惰を許さない。

今の時間帯は女官たちの指導をし、自分の仕事をバリバリとこなしているであろう彼女が、わざわざ話し掛けてきたことに、アルジェンは首を傾げた。

「しかし……」

彼女の用件は気になるが、心から目を離すわけにはいかない。

また後ほど、と答えようとしたアルジェンの言葉は、ルヴェータの視線によって黙殺された。

「ココロ様のことでございます」

周囲に聞こえないよう、小さく囁かれた声に、アルジェンは眉根を寄せた。

忙しい彼女が、仕事を後回しにしてまで話さなければならないこと……つまりは、心の存在が何か迷惑をかけているのかもしれない、と思ったのだ。
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