午前0時、夜空の下で
カツン、と。
たった一歩、足を踏み入れただけで。
……その場の空気はガラリと変わった。
『見て……あの方、黒を纏っていらっしゃるわ』
『あの方が噂に聞く、陛下の寵姫?……一体どんな傾国の美女かと思えば、』
『しかし寵愛を受けているという噂は本当のようだ。見ろ、あの姿を。まるで陛下に見えない手で囚われているようではないか』
ヒソヒソコソコソ。
あちらこちらで、囁きが交わされる。
色とりどりのドレスに身を包む、無邪気な蝶たち。