午前0時、夜空の下で
この世界に電気は存在しないため、会場である大広間には、おそらく魔力であろう光を閉じ込めたガラスが、ふわふわと浮かんでいる。

しかし、心には幻想的な光景に見入る余裕などなかった。

チラチラと向けられる視線が鬱陶しい。

そして彼女の耳は、影で交わされる言葉を余すところなく聞き取ってしまうのだ。

まだ数分ほどしか経ていないにもかかわらず、心はすでに疲れ切っていた。

ザワリと、再び空気が変わる。

誰かが、感嘆の溜息を漏らした。

『……カザリナ様よ』

小さな、小さな囁きを捕まえて。

心は騒めく思いを抑えることもできずに、顔を上げた。
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