威鶴の瞳


「……あ。風邪のことなら、無事に回復しましたので……。先日はありがとうございました」

「別に。俺も依鶴さんに会えたし、気にしなくていい」



ならなぜここにいる。



……はぁ、1つまた小さく溜め息。

居るのはいいけど、正直客が寄ってこない。

トーマが怖いんだろう。



普段から目つきが鋭いから……。



「……依鶴さんは」



ふと声をかけてきた、トーマ。

……どうした?



少し言いにくそうに、私に聞いてきた。



「依鶴さんは、俺のこと……怖くないのか?」



そう言ってちらり、私を見る。

でもすぐに視線を外して、遠くの天井へ向ける。



もしかして……それを聞きに来た……のかな?

トーマはよくわからない。

トーマへの気持ちも、よくわからない。

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