威鶴の瞳
そんな、まるで父親のような感情を抱きながらも、今日の仕事は終了。
帰ってから占いまで少し時間があるから寝るかな、なんて考えながら、途中までトーマと帰る。
「なぁ威鶴」
「どうした?」
「お前……依鶴さんの家の方向と、同じだよな」
……。
……。
この時俺は、トーマも侮れないな、なんて考えていた。
そういやコイツ、風邪の時に家来てたんだった!
今更になって思い出す。
思えばあの日を境に色々と変化があった。
まず、依鶴と出会った事から始まり、家を知られ、昼の仕事場を知られ、過去を知られ──そして未来ではなぜかトーマの実家に行くことになっている。
何がどうなってそうなるのかはわからないが、確実な事は1つ。
依鶴と透眞が出会ってから、確実に、少しずつでも、俺たちに変化が起きている。