威鶴の瞳
見たことのない景色、知り合いなんているはずもない。
それはつまり……家の場所すらわからないということで。
そんなことを気にしながらも、恐怖は消えなかった。
怖い。
怖い、怖い、怖い――。
「よう、依鶴さん」
ここほんのちょっとの時間で聞きなれたあの声がして、声のした方を勢いよく振り向いた。
「竹原、さん……」
何度も会うということは、親しい仲、ということなんだろうか?
そういえばこの人は私と目を合わせてくれている。
親しいらしいのに、目を合わせてくれている。
そのことがなによりも、私に安心感を与えてくれた。