威鶴の瞳


状況を知ってからは、困惑は減っていた。

だって意識が途切れるのは、私じゃない人格が外に出ているからで、記憶が無くなっているわけではない。

その上、私のコピーということならきっと、私そのものと変わりないだろうから、心配はないと思う。



ソラをボーッと眺めていると、また意識が途絶えた。





「……あ、また竹原さん」

「そしたら叶香の奴回し蹴り――また?竹原さん?」



じーっと私を見る、竹原さん。

……『かなか』ってなんだったんだろう?

回し蹴り?



「よう、お前か」

「……はい。『ホンモノ』?です」

「じゃ、今日は何話すかな」



そう言った竹原さんはいちごみるくを飲んでいた。



「……あの、甘党なんですか?」

「は?俺が?」

「だって自分の飲んでるもの見てくださいよ」

< 379 / 500 >

この作品をシェア

pagetop