威鶴の瞳
状況を知ってからは、困惑は減っていた。
だって意識が途切れるのは、私じゃない人格が外に出ているからで、記憶が無くなっているわけではない。
その上、私のコピーということならきっと、私そのものと変わりないだろうから、心配はないと思う。
ソラをボーッと眺めていると、また意識が途絶えた。
「……あ、また竹原さん」
「そしたら叶香の奴回し蹴り――また?竹原さん?」
じーっと私を見る、竹原さん。
……『かなか』ってなんだったんだろう?
回し蹴り?
「よう、お前か」
「……はい。『ホンモノ』?です」
「じゃ、今日は何話すかな」
そう言った竹原さんはいちごみるくを飲んでいた。
「……あの、甘党なんですか?」
「は?俺が?」
「だって自分の飲んでるもの見てくださいよ」