威鶴の瞳


……そう、私は千鶴と会いたい。

トーマと優雨さんと一緒に、千鶴に会いに行きたい。



大切な人を、紹介したい。



「1つに戻ること自体、心は前から決まっていたんでしょう?」

「……はい。私も、威鶴も……ずっと前から」

「それなら、あなたはしたいことを我慢せずにすることね」



『したいこと』

私のしたいこと……?



「さぁて、そろそろ目覚めたこと知らせなきゃね」



そう笑って、優雨さんはナースコールを押した。



白衣の人が入ってくるのと入れ替わりで、優雨さんは出て行った。

トーマにも私が起きたことを伝えてくるらしい。



だから、縛るのはせめて足だけにしてあげてとお願いしてあげた。
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