教組の花嫁
 
 「客室代と光熱費は無料でいいわ。食事は出前を頼んでもいいし、自炊をしても結構よ。2階に調理室とランドリー室があるから、自由に使ってね」

 「わかりました」

 小波が即返事をした。



 「教祖様が寝室を共になさりたい時は、私から電話を差し上げるわ。早くそうなるといいわね」



 「あっ、はい」


 (千葉様を経由するのか)


 道心から直接、電話をもらえないので、小波は少し気が重かった。


 「わからない事があれば、その都度何でも私に言って。教えて上げるから」

 「そうします」

 「では、引越しが終わったら私に連絡して。奥様の所にご挨拶に行くから」

 「わかりました」


 小波は大奥に上がる娘のように、不安と期待を胸に秘めて事態の進展に身を委ねていた。








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