教組の花嫁

 小波は自宅マンションに帰った。そして、最小限の私物を、海外旅行用の大きな旅行カバンと、小さ目の旅行カバンの二つに詰めた。


 「いつ帰る事になるかわからない。このマンションは暫く借りたままでおいておこう。家賃や光熱費は自動振込みだから、問題ないし」


 小波が先の事を考えて独り言を言った。


 「季節が変わる時に、また衣類は取替えに来ればいい。これだけでいいか」


 小波は住居を移る為の用意をテキパキとした。


 部屋の中を点検すると、小波はタクシーを呼び、教団までタクシーを走らせた。




 教団の敷地内にある住居棟の1階は、左半分が泰子の住居。右半分に、応接室5室と茶室がある。


 百合葉は小波を連れて、道心の本妻 泰子の住まいを訪れていた。





< 129 / 296 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop