教組の花嫁

 退院して間もなく、百合葉が永心の顔を見に小波の住まいを訪れた。
 小波は妊娠をしてから、住居棟3階の道心の住まいで生活するようになっていた。


 「永心様はご機嫌いかが」


 百合葉が尋ねた。


 「今、寝ています。千葉様、ご覧になりますか?」
 「ぜひぜひ、お顔を拝ませていただきたいわ」


 小波は、ベビーベッドの置いてある子供部屋に百合葉を案内した。


 「まあ、可愛い。天子様みたいな顔をして眠ってらっしゃるわ。お乳はいっぱい召し上がるの」


 百合葉が、永心の寝顔を見て思わず頬を緩めた。


 「それが、良く飲むのですよ」
 「お腹いっぱいお乳を飲んで、早く大きくなってね。まあ、教祖様に良く似ていらっしゃるわ」
 「そうですか。私は私似だとばかり思っていましたわ」


 小波が、永心をまじまじと見詰めながら呟いた。


 「そんな事無いわ。教祖様似よ」
 「そうでしょうか」



 「それに、永心様の手の爪、教組様の爪の形と瓜二つよ。親子って恐ろしいわね」



 百合葉は、永心の手の指をじっと見詰めている。





 
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