教組の花嫁
「そんな事があったんか。ようわかったわ。そやけど、あの女はひどい女やなあ。あんたへの仕打ちもひどいけど、よりにもよって教祖を誑かすとは。絶対に許されへんな」
泰子が強い口調で呟いた。
「奥様もそう思うでしょう。許せないと思うのは、私だけじゃ無いんだ」
「誰だってそう思うのと違いまっか」
(これで強力な味方が手に入ったわ)
ほのかは、同調する泰子を見てニンマリとした。
「奥様にご相談したのは、これから先、どうしたものかと思いまして」
「跡継ぎに係わる大事な事や、黙ってはおられへんなあ」
「奥様、どうしたらいいのでしょうか」
「これから教祖の所に行こ。うちも一緒に行ったるわ」
泰子は今すぐ道心の所に行って、談判したい誘惑に駆られていた。
「奥様がご一緒して下さるなんて。願っても無い事ですわ」
「ほんなら、今から行こ。あの女の化けの皮を剥がしてやるんや」
「奥様。ありがとうございます」
ほんのかは、自分の意図通りに第一幕を降ろせた事に満足をしていた。
(これからが天下分け目の第二幕。命懸けで頑張らなくちゃ)
ほのかは、今まで以上に闘志を燃やしていた。
二人は、肩を怒らして教祖室へ向かった。