教組の花嫁
「小波とはどんな字を書くのだね」
道心が小波に質問をした。
「小さな波です」
小波が答えた。
「いい名前だ。君は和服が似合いそうだね。なあ、ママ」
「さすがわ、教祖様。お目が高い。次は、小波さんの和服姿をお見せしますわ」
(教祖は小波に興味を持っている。年の若い純は単なるカモフラージュか)
百合葉は女の直感でそう感じた。
「教祖様、何をお飲みになりますか」
劣勢を挽回するかのように、純が口を開いた。
「永命を冷で頼む」
「えっ、永命」
純が耳慣れない言葉に驚いた。
「永命とは、うちの教団と関係のある酒造会社が醸造している、最高の日本酒の事だよ」
道心が答えた。