教組の花嫁
「それじゃ、環境は前のまま。少しも改善されていないじゃないですか。それで、戻れですか。ふざけないで下さい」
小波が、道心を睨み付けて啖呵を切った。
「それは・・・」
道心は反論が出来なかった。
「出直して下さい。環境が変われば、電話でもして下さい。その時は、また考えてみますから」
小波が、はっきりと自分の意思を道心に伝えた。
小波は自分のマンションに帰宅した時、これから先、永心を連れてどう生きるべきか、必死で思案していた。
(家を出たものの、赤子を連れて生きて行くのは、た易い事では無い)
そう考えていた時に、道心のあの言葉が。
「君が戻れる環境を造るから」
小波はこの言葉に飛び付いた。