教組の花嫁

 北河は100万円の束を見て驚いた。


 (この女は何を企んでいるのだろうか。ほのかと同類か。まいったな。俺に星野さんを誘惑させて、てめえは何を貪るつもりだ。どいつもこいつも、女とは、欲の突っ張った化け物か)


 「星野さんと寝るだけでいいのか」


 北河が百合葉の反応を窺った。


 「まあ、そう言う事ね。一番いいのは、教組様を捨てて、あなたの元に走る事かしら。こうなれば、成功報酬として、900万円差し上げるわ」


 百合葉は、口元に笑みを浮かべて北河の成すべき役目を伝えた。

 「成るほど、それが、目的か。よくわかったよ」

 (目的は星野さんをこの教団から追い出す事か。宗教家が考える事か。無宗教の人間の方が、よっぽどまともじゃねえか。呆れるよ)

 北河は、百合葉を軽蔑した目で見詰めた。


 「どう、受けるの」
 「ああ」


 (星野さんの顔を見てから、受けるか、止めるか、決めればいい)


 北河は小波に会いたかった。その為に、とりあえず呆れた仕事を引き受ける事にした。





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