教組の花嫁
「これは、私の心からのお礼よ」
小波が、北河の目を見て呟いた。
「この100万円は、あの女に返してくれないか」
北河が、テーブルの上の100万円を摑み小波に手渡した。
「わかったわ」
小波が、100万円の束を受け取った。
「また、会ってくれるのか」
北河が真剣な顔をして尋ねた。
「こんな関係でも構わないなら」
「いいよ。じゃあ、また」
「本当に、ありがとう」
小波は北河に礼を言い、部屋から足早に出て行った。
(千葉様は私を追放したいのか。北河に私を誘惑させて、それをネタに、教祖の妻にはふさわしくないと騒ぐつもりかも。と言う事は、妻の座が欲しいのか)
(永心を私に近付けないのも、追放した後の事を考えての事か。そちらがその気なら、こちらだって遠慮する事はない。追放される前に、お前を追放してやる)
小波は自宅に帰る道筋、百合葉の事を思い出して敵意を剥き出しにしていた。