教組の花嫁
 
 百合葉の追放を決意すると、小波は教祖室のドアを叩いた。


 トントン。


 「入りたまえ」


 中から、道心の声が聞こえた。


 「何だ。君か」
 「少しお話したい事がありまして」


 「何かね」
 「このお金は何のお金かおわかりですか」


 小波が執務デスクの上に、北河から預かった帯封のある100万円の束を置いた。

 「何かね。このお金は」

 道心が訝るような目で金を見た。


 「千葉様がカメラマンの北河に、仕事の前金として渡した物です」
 「何の仕事だ」


 「私を誘惑させる仕事です」
 「誘惑させる仕事。何の為に」


 「私をこの教団から追放する為ですわ。跡継ぎを生んだ女は、千葉様には邪魔者のようですわ」


 小波が、表情を微塵も変えずに淡々と語った。






 
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