教組の花嫁

 小波は思わず体をピクッとした。


 「これ位でいいだろう。この姿勢を忘れないように」
 「わかりました」


 道心の言葉に小波が頷いた。


 「あとは、一点に思い集中させること。泉が思い浮かべば、あれもこれも思い描くのではなく、水が湧く底だけに、思いを集中させる事」

 「底だけですね」

 「そうだ。底だけに思いを没頭させるのだ。そして、何も無くなるまで集中の度合いを深めて行くのだ」

 「わかりました」

 「じゃ、一人でやってみたまえ。私は先ほどの続きをしている。いいかね」


 道心が立ち上がった。


 「やってみます」


 小波は、澄み切った水が湧き出る泉の底に思いを集中した。





 
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