教組の花嫁

 「お母ちゃん---!」

 

 小波は叫び声を上げた。


 「お母ちゃん」

 「お母ちゃん・・・」


 ポトン、ポトン、ポトン・・・。
 涙が滴り落ちる。


 「いややあ~」


 「いややあ~~」


 「私を残して、どうして死んだんや・・・」


 「ひどいわ。お母ちゃん、ひどいわ~~。うううっ・・・」


 小波は号泣した。


 「お母ちゃん・・・」


 「お母ちゃん、うううっ・・・」



 「うっうううっうう・・・」



 小波はおろおろするばかりで、ただただ涙を流して泣いていた。


 母は小波を残し、父の後を追ってしまったのだった。


 母は小波宛と、父の弟である東京に住む叔父宛に、遺書を書き残していた。






< 39 / 296 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop