教組の花嫁
「待ってえなあ」
「死んだらあかんで~」
ほのかが悲壮な声を上げて名演技を続けている。
まじで追い掛け出したので、いつしかほのかの猫背は無くなっていた。
背の高いお婆さんは着物の裾をはだけ、必死で病人の後を追い掛けている。
どうにかマスコミ達にわからず、ほのかと百合葉は、救急車に乗り込む事が出来た。
救急車が動き出した。
救急車は、臨港線を神戸方面に走ろうとしている。
その時、百合葉がむくっと起き上がった。
「その交差点を左に曲がって」
百合葉が、運転担当の機関員に向かって大声を上げた。