教組の花嫁
救急隊長と隊員は、顔を見合わせて驚いた表情をしている。
「少し寝たらすっかりようなりましたわ。教団の裏で降ろして下さい」
百合葉が隊員に声を掛けた。
「本当に大丈夫ですか」
隊長が困った顔をして言った。
「私、気分が悪くなって、よく倒れる事があるんです。でも、暫くするとすぐ普通に戻ります。本当にご迷惑をお掛けしました。許して下さいね」
百合葉が何でも無いような顔をして、隊員に体調を説明した。
「まいったな。でも、一度大きな病院で診てもらって方がいいですよ」
そう言うと、隊長は機関員にその交差点を左に曲がるように指示を出した。
「そこのガレージの前で結構です。本当にお世話になりました。これはほんのお礼です」
百合葉は、チッシュで包んだ1万円札を隊長に渡した。