教組の花嫁
小波は『命の泉』西宮本部に着くとまず受付へ。
受付には、顔見知りの日吉美和が座っている。
小波は美和に尋ねた。
「嶋中ほのかさんは奉仕していないの」
「嶋中ほのか?あれっきりよ」
美和が素っ気無く答えた。
「あれっきりて」
「うちずっと受付で奉仕をしてるけど、ほのかは東京に帰ってからは、一度も受付で奉仕してへんで」
「そうなんだ」
「星野さんはもう受付で奉仕せえへんの」
「仕事が入ったので、お休みしているの。仕事が終われば、またすると思うわ。その時は、よろしくね。じゃ、ありがとう」
小波が美和を見て小さく会釈をした。
小波は受付の次に、教団のメイン会場である講演ホールに入った。
講演ホールを前後左右に歩きながら、小波はほのかを捜した。