教組の花嫁
ほのかは静止した画像のように、小波をじっと睨み続けている。
ほのかの目は血走っている。
まるで、今にも襲いかかろうとしている野良犬のようだ。
小波が思わず視線を外した。
ほのかも我に帰った。
ほのかが一目散に駆け出した。
(馬鹿にしやがって。馬鹿にしやがって。覚えときや)
(小便臭い素人娘が。この仕返しは必ず、必ずさしてもらうからな)
走りながら、ほのかは心に誓っていた。
(惨め過ぎる。うううっ・・・)
ほのかは阪神電車の最寄の駅まで、泣きながら走って行った。
ほのかには、タクシーを止める気力も残っていなかった。
小波は呆然とほのかの後ろ姿を見送っていた。