夜の図書館

「今日は早いんだね」
口だけそう言い
頭の中はフル回転。

さて酒のつまみに何を作ろう
早くしないと怒られる。

「残業代も出ないのに、やってられるか」
吐き出すように言うけれど
私の頭の中はフル回転。

シュミレーションは時間との闘い。
洗濯物を片付けようか

「お前はいいよなー」

いや
先に風呂を洗うか
お湯を入れながら行動した方が早い。

「男の責任なんてないもんなー」

つまみ
まずはつまみかな?

冷蔵庫に何かあるかな
チーズでもいいし
きゅうりでもいい。
サラミは昨日食べたか

「何かないのかよ」
チッと舌打ちが出た。

ヤバいな
今日は舌打ちが早い
最優先は酒のつまみに決定。

責める言葉の輪唱は
夏の雨のように突然降るけれど、それは通り雨。

だから
私はやっていける

そう
殴られるわけでもなく
お給料ももらってる

だけど

たまに
叫びたくなるのは

なぜだろう。
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