眠り姫の唇


「高江~!渡してきてくれた~!?」


遠くのデスクから前川が叫ぶ。


「あんな大事なもの今度から直接渡して下さーい!」


瑠香もイライラしながら負けじと声を張る。


「え?アイツ中身見せてくれたの?!アイツが?!」


そう言うやいなや、前川がいきなりずずいとこちらにやってきた。

そして小声で耳打ちする。

「何々、それってなんだか脈あり?」

女子高生みたいに目を輝かせてキャーキャー言っている目の前の先輩に、瑠香は大きなため息をついた。

「だからそもそも違うんですって。それに、その、…渡した直後にパサッと岩城さんが中身を落としてそれを私が拾っただけです。」


「へー、アイツが書類落とすなんて珍しいわね。しかも、あれふた開けないと中身出ないタイプだから、それって多分高江の目の前で開けようとしたのよ。うん、やっぱり珍しいわ。アイツただでさえ一匹狼みたいなとこあるから。」


「え?一匹狼?結構寂しがり屋だと思うんですけど。」


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