眠り姫の唇


岩城には一匹狼というよりも、舎弟をそばに置きたがるボス猿、もしくはボス熊のような気がする。

いっつも人の事抱き枕替わりにするし。

夜コンビニに買い物に行こうとすると『どこ行くんだ』ってすごい不機嫌になるし。

あれは古典的な寂しがり屋だと瑠香は思う。


「…。」


「…、え、なんですかその目。」


「ちょっと!なんかあったでしょ!私の知らぬまになんかあったでしょ!さぁさぁお姉さんに報告しなさい!してみなさい!」


そう言って興奮気味に前川は瑠香を揺さぶった。

「こら前川。高江ちゃんいじめてないで仕事しろ。帰れないぞ。」

原課長にたしなめられ、前川は渋々席に戻る。


「(グッジョブ原課長。)」


はぁはぁ言いながら瑠香は心の中で原課長に感謝する。






去り際の前川の一言にげんなりしたが、瑠香はまたパソコンに視線を向けた。







“今度ゆっくり話聞くからね!”




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