眠り姫の唇


「明後日から、急遽、出張が入った。」



凄く真面目な顔で、思い詰めたようにそんな事言うもんだから、瑠香は喉から酷く間抜けな声が出て来た。


「ふーん…」






「……。」


「……。」



………………………で?



「一週間ほどロスに行かなければならない。」



…それで?


「そーなんですか。」


瑠香は深刻な顔をしながら食べかけの鯖を見つめる岩城に、カラッとした言葉を投げかけた。


「お土産楽しみにしてますねー。」


「…。」


瑠香はもぐもぐとご飯を頬張りながら、呑気にテレビのリモコンに手を伸ばした。










その話はそれで終わったと思っていた瑠香が、さっと食べ終わって食器をキッチンに持って行く。


「?」


いつもなら自分よりも先に食べ終わって、スポンジ片手にわしゃわしゃ泡まみれになっている人が、珍しく食べ終わってもムスッとしながらテレビを見ていた。


不思議に思いながらも、岩城の分まで片付けて、鼻歌を歌いながら一枚一枚洗っていく。


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