眠り姫の唇
瑠香はふと先ほどの岩城の話を思い出した。
「(ロスに出張か…)」
…良い機会かもしれない。
ちょっと離れて冷静になろう。
最近近くに居すぎて、変な感じなのだ。
岩城修一郎という男を、客観的に見る必要がある。
あの仏頂面の男が可愛く見えてしまっている時点で、今自分はおかしくなっているんだと瑠香は言い聞かせた。
冷静になろう。
そして、ちゃんと見定めよう。
自分にとって、岩城はどういう存在なのかを。
瑠香はまた一人、うんと頷いてお皿をキュッと磨いた。
しかし、
瑠香がそんな風に余裕で居られたのは、その時までだった。