眠り姫の唇
「んー、瑠香に早く会いたくて仕事を早く片付けてきた。」
「え!!」
「…と、言いたいところだが、先方の都合で日付が短くなっただけだ。」
予想外な所で、上げて下げられた瑠香は目を丸くしてただ岩城を見つめる。
イタズラが成功した子供みたいな顔をして、岩城はニヤリと笑った。
「がっかりしたか?」
どうも岩城は、瑠香が拗ねたりびっくりしたり妬いたりする事に楽しみを感じているらしい。
素直にがっかりしてしまった自分に悔しさが湧き、瑠香はふいっと顔をそらせた。
「してません。」
岩城が整った顔をニヤつかせながら横を向く瑠香を覗き込む。
「…でも、早く帰って来たかったのは本当だ。」
無防備な白い首に唇を寄せながら岩城は囁いた。
「瑠香に早く会いたかった。」
ストレートな物言いに、瑠香はボッと赤くなる。
困った。男は変な所でアメリカ式になって帰って来てしまったようだ。
そのまま首筋をススス…と微かに唇を滑らせて岩城は瑠香の反応を見る。
ビクッと身体を固く緊張させて、眉を苦しそうに歪める瑠香に岩城は満足そうにこっそり微笑んだ。