眠り姫の唇


玉ねぎ
人参
じゃがいも
豚肉
カレーのルー(甘口)


「(他に何かいるっけ?)」


スーパーの野菜コーナーで瑠香は首をひねる。


…こんなものでいいか。


実にシンプルなカレーが出来そうだ。


「あ、サラダもいるか。」


そういってレタスをころんとかごの中にいれる。


作っている手順を頭の中で整理していたら、思わずお腹がグーッと鳴ってしまった。


…よく考えたら朝も昼も食べていない。


体力も使ったし。


さっきの事情を思い出し、アスパラを握りしめたままボンッと顔を沸騰させる。


そんな瑠香の背後から音もなくぬんっと岩城が現れ、小声で呟いた。


「何エロい事考えてんだ。」


「うっわ!岩城さ…っ。どこ言ってたんですか!」


わたわたしながら瑠香が振り返る。


気がついたら姿を消していたその男の手には、ビールとチーズと一個不自然にチョコがあった。


それを岩城はがさっと瑠香が持っているかごに入れる。


一気に重くなったかごを瑠香から奪い、岩城は瑠香を振り返った。


「他、もう買うもんないか?」


「え、あ、はい。」


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