眠り姫の唇
…これは。
一言でも言葉を間違えると大変な事が起こる気がする。
別に唯とさしで飲んでいただけだ。
唯に男性の連れなんていなかったし、居酒屋でナンパされた覚えもない。
別にやましい事は一つもないのだ。
岩城にビビりながらも、瑠香はありのまま堂々と答えるように努める。
「近くの居酒屋ですよ。酎ハイ飲んだり、おつまみ食べたり、その子の世界旅の話聞いたり、楽しかったです。」
「“その子”?年下なのか?」
「え?同い年ですけど。2年ぶりにあったんです。色も黒くなってて外国人みたいになってましたよ。」
「飲んだ後、どうしたんだ?」
「あー、泊めてくれって言われたんで」
「泊めたのか?!」
瑠香が喋り終わらない内に岩城が鬼の形相で詰め寄った。
な、なんで?!
ここで“はい”とでも言おうものなら、喰われかねない気迫を感じる。
なんて答えようかと考えていたら、その少し開いた口に岩城の舌が侵入していた。