眠り姫の唇



扉を開けて、玄関に入った途端岩城にひょいっと軽いレジ袋を取り上げられた。


軽いから別にいいのに、変な所で紳士だなぁと、ぼんやり思いながら瑠香は鍵を閉める。


それが合図のように、扉に大きな影が出来た。

すぐ後ろに岩城が立っているのだと気がついた時には、もう瑠香には逃げ場は無くなっていた。


「ん?岩城さん?」


「…そんなに楽しかったのか?」


くるんと振り返ると、すこぶる機嫌の悪い顔。


…嫌な予感がした。


「…何がですか?」


扉に背中をぴったり付けながら、瑠香がたじろぐ。


そんなのお構いなしに岩城は瑠香の顔の横の扉にそっと手を付けた。


「どこで飲んでたんだ?」


そいつと。という岩城の瞳がやたらと冷たい。出会った時のように瑠香は氷漬けにされそうになった。


もう片方の手で岩城はゆっくり瑠香のあごを妖艶になぞる。


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