眠り姫の唇


それをも許すまいと、岩城は瑠香が酸欠になるぐらい深い口付けを繰り返す。


反応する体はもう自分のものではなく、岩城に忠誠を誓っているようだ。


全然、ゆうことを聞いてくれない。


あ、と瑠香は思った。


唯のこと、男とも女とも言っていない。


世界を飛び回るカメラマンとだけしか言っていない。


色が黒くなって帰ってきた友人とだけしか言っていない。



「…待って、岩城さ…」


「今、お前の要求なんかのむと思うか?」


そうギロリと睨まれながら、岩城は既に瑠香の胸元のボタンを外しにかかっていた。



「女の子なんです!」


「…?」


「そのカメラマン、女の子ですよ!」


甘い刺激に身をよじりながら岩城に訴える。


その言葉に暴走した巨人兵はピタリと動きを止めた。



「………。」



「……。」



「………。」



「……。」




…妙な沈黙が流れる。





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