眠り姫の唇
「せっかく連絡もくれてたみたいなのに、気付かなくて…」
「いや、それはもういい。」
そう言って岩城はそっと、濡れた瑠香の髪に手を伸ばす。
まるで何かを確かめるように撫でる指に瑠香は首を傾げた。
「岩城さん…?」
「…ん。泣いてないな。」
「…?」
「さっき泣きそうな顔してたから。」
泣きそう…?
そう静かに抱き締められ、瑠香は岩城の直接的な香りにクラクラした。
…そんな顔、いったいいつしたのだろうか。
自分の髪の水滴が、岩城の肩をしっとりと濡らしているのが目に入って、瑠香が慌てて岩城の胸に手を付く。
「ぬ、濡れちゃいますよ岩城さん…。」
離れようとする瑠香を更にキツく抱き締めて岩城は微笑んだ。
「…誘ってるのか?そんな大胆な発言して。」
「断じてそんな意味で言ってません。」