眠り姫の唇
瑠香はフッと笑ってチョコを一箱手に取り、岩城の所まで戻ってきた。
瑠香がお風呂に入っている間に買ってきてくれたのであろうか。
予想外な可愛い事をしてくれる。
「こんなに食べ切れませんよ。岩城さんもどうです?」
そういって瑠香はパカッとパッケージを開け、一粒岩城の顔の前に持って行った。
途端に怪訝そうな顔をして岩城は少し後ろにのけぞった。
「俺はいい。」
予想通りの反応に瑠香はクスクス笑う。
そのチョコをひょいっと口に入れ、濃厚な甘さに頬を緩めた。
美味しいのに。
岩城はいつも後味が口にのってりと残ると顔をしかめて食べようとしない。
その甘さに酔いながらなんて可哀想な味覚なんだと瑠香は軽く嘆いた。