眠り姫の唇
「美味しいのに。岩城さん変わってますね。」
「別に珍しくないだろう。」
「まぁ、男の人に多いですけど。」
甘いのが苦手な人は可哀想だなぁと思いながら、瑠香はもう一粒口に放り込む。
その様子をじっと見つめながら岩城は静かに口を開いた。
「…久しぶりに食べてみるかな。」
「え。」
珍しいなと振り返れば、既に岩城の雄の顔が目の前にあった。
シーツがキュッと音を鳴らし、獲物を定めたような岩城の鋭い瞳が瑠香の唇を捕らえている。
完全に野生動物のオーラを放ち始めた岩城に瑠香は慌てて自分の口を両手で覆った。
「…………。」
瑠香の右手の甲に、岩城の想像以上に柔らかい唇が当たって一瞬体がビクッと震える。