眠り姫の唇
車一つ停まっていない小さな駐車場に岩城と瑠香を乗せた車だけ。
柵の向こうは夜景が広がり、雰囲気が雰囲気ならロマンチックな眺めだが、今の二人にはそれを楽しむ余裕はなかった。
車が停まってもしばらく無言を貫いていた岩城がやっと重い口を開ける。
「今から聞く事に、正直に答えて欲しい。」
「…はい。」
ただならぬ雰囲気に瑠香は素直に返事をした。
言葉を選ぶようにゆっくり岩城は発言する。
岩城はシートベルトを外し、瑠香を真っ直ぐ見つめた。
「…7階の三國とは、どういう関係だ?」
「三國ぃ?」
なんだ改まって。
瑠香から拍子抜けしたような声が出た。