眠り姫の唇


きょとんとして岩城を見上げるが、そこには格好良く運転する男が何も答えずにハンドルを握ったままでいた。


「…。」


「…。」


別に答えてくれてもいいのにと思い、瑠香はムスッと前に向き直る。


今日の岩城は何かが変だ。



車はどんどん都市部を離れていき、薄暗い山道に差し掛かった。


すれ違う車も数台しかない。


かろうじて2車線なのがありがたかった。



「…あの、どこいくんですか?」


せめてそれぐらい教えてくれても良いのに。


やっぱり岩城は無言のままで。


瑠香も自然と口をつぐんだ。





………‥



30分ぐらい走ったであろうか。


車は小高い広場に停車して、エンジンがスン…と静かになる。




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