眠り姫の唇
それだけいうと、桜子は泣きそうな顔をした。
「…あの人の事なんだけど、その、彼を、信じてあげて欲しいの。」
「…は?」
彼。
とは、やはり…岩城の事だろうか?
それよりも話が全く見えない。
「今後も彼とやって行くなら、そういうことも全部含めて受け入れるしかないし…。たとえ嘘でもね。」
同情するような口調で、やわやわと周りから攻めるような発言に、瑠香はイライラしてきた。
いったい、
何がいいたいのだ。
「あの、具体的に言ってくれませんか。」
思いの外、キツい口調に瑠香は後からしまったと思った。
まるで罠にハマってしまって、焦って喚く動物のようだ。
そんな瑠香の様子に、桜子は一瞬満足そうな表情をしながら続けた。
「高江さんって、岩城さんと出会ってどれぐらいになるの?」
「…あなたに言う必要があるんですか。」
瑠香に睨まれつつも、桜子はクスリと悲しそうに笑う。