眠り姫の唇
彼女は、27歳で瑠香より2つ年上。
今日は何故か髪を降ろしてきていた。
とても、本当に、綺麗な外見をしていた。
この人に、エレベーターであんな風に睨まれてた事すら、自分の夢だったんじゃないかと錯覚するほど、目の前の彼女に女らしさを感じた。
緩くフェーブした髪がふわりと揺れる。
「ごめんなさいね、こんな所にお呼びだしして。」
瑠香は緊張しながら笑顔の桜子を見つめた。
「あの、どのような用件で。」
分かってはいたが、あえて聞いてみる。
瑠香は既に気負いしている自分に渇を入れて、ぐっと瞳に力を入れた。
すると、桜子は瞳を悲しそうに伏せて、言いにくそうに口を割る。
瑠香は妙に似合ったあの口紅ばかりに目がいった。
「…あなたに、謝らなければならないことがあって…。」