眠り姫の唇
「あの……、」
「ううん、いいの。私はあなたを恨んでる訳ではないから、謝罪なんて、そんないいのよ。」
大げさに首を振りつつ、桜子は見当違いな言葉をまくし立てる。
「あなたも、知らなかったんでしょ?だからあなたは何も悪くないの。悪気なんてなかったものね。」
遠回しに悪者扱いされつつ、瑠香はしばらく黙ってただ桜子を見つめた。
「高江さんは岩城さんと知り合って、まだ短いんでしょ?だって、今まで面識あるような素振りなんてしてなかったし。だから、知らないわよね。岩城さんの色んなコト。」
妙に含んだその言い方に、瑠香はムッとする。
「彼、少し病気みたいな所があってね。すぐ浮気するの。しかも結構向こうも本気にさせるぐらい優しく扱うから、後々こまっちゃって…。私も何回泣いたか分からないわ。…高江さんも、結構本気になっちゃったんじゃない?」
そう少しバカにされたように言われて、瑠香は声を荒げる。
「本気もなにも、実際付き合ってますからっ。」
それを逆撫でするように、桜子はクスリと笑う。