眠り姫の唇
「いい気にならないでよ!こっちはこれからだったのよ!やっと岩城さんと並んで出張に行けるぐらい力をつけて、これからって時だったのに、何よ。こんななんにも持ってなさそうな女のどこがいいのよ。」
「えーー。」
涙目になりながら喧嘩越しに喋りまくる桜子に、瑠香は完全に腰が引けていた。
なんにも持ってないって酷くないか。
「言っておくけどね、岩城さんはそんじょそこらの男とは違うのよ。あなたがひょいっと隣に並んで良い存在じゃないの。私みたいに努力して洗練された女じゃないと駄目なのよ。」
「…。」
ああ、この人にアスパラを渋い顔して残す岩城の姿を見せてあげたいと瑠香は思った。
どうやら桜子の中の岩城像はとんでもない事になっているようだ。
「いいから別れなさいよ!自分の姿を鏡でもう一回みて自覚しなさいよ!」
なんて酷い言われようだ。
そこまでブスではないと思うのだが。