眠り姫の唇
瑠香は少しスッキリした気持ちで7階に戻ってきた。
どうやら結構な時間がたっているらしく、残っている人もまばらだ。
薄暗い廊下を歩きながら、瑠香はおもむろにマナーモードにしてある携帯を開く。
あ。
「(岩城さんからメールだ。)」
どうやら今日は早く終わるらしい。
時計覧をみると、岩城が指定した時間をとうに越していた。
「(ヤバい。返信してない。)」
心配しているか、怒っているか。
瑠香は返信用の文章を携帯に打ち込みながら、7階の資料室の前を通り過ぎようとした。
「……それがなんでもないって顔か?……」
ん?
瑠香はピタリと足を止める。
聞き覚えのある声が、扉の向こうから聞こえてきた。