眠り姫の唇



瑠香は涙で濡れた頬を膝に付ける。


ストッキングが水分で色を変える。


あーあ。


今日もストッキングのかえ、持ってきてないや。


でも、どうにか乾くだろう。


…これからどうしよう。


7階に戻れるか?


まぁ、仕事は終わらせてるし、問題は荷物だけど…。


とりあえず財布と携帯だけポケットに入ってて良かったと瑠香は思った。


これだけあれば、そのまま帰宅出来る。


膝っこぞうを見つめながら、瑠香は今後の予定を考えていた。


岩城のところに置いている荷物はどうしよう、とか。


前川とはどうやって目を合わそう、とか。




だから、




気付かなかった。






「…見つけた。」




聞き慣れた足音がこちらに近付いて来ていた事に。






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