眠り姫の唇

ブハハハハと店の亭主は派手に笑い、はいよ!とラーメンを湯がきにかかる。


「お前なぁ…」


岩城は呆れたように瑠香に一別を送るが、瑠香はそれを無視して良い匂いをお腹いっぱいに吸いこんだ。

どうやら岩城はここの常連のようである。


「修ちゃんは今日は塩?」


「ああ、チャーシュープラス2ネギ多めで。」


「あいよ!」


ほんのり微笑む岩城を横目でみて、かなりリラックスしてるなぁと瑠香は思った。

肘をついてその上に顎を乗せる。

リサ達にラーメンをすする岩城を見せてやりたい。


岩城という男は本当はこんなんなんですよー。


でも、それと同時に誰にも見せたくないなぁとも思った。


「はいよ!塩とんこつのフルトッピング!!」


「わぁ!ありがとうございます!」


ラーメンの味は間違いなく最高。

オヤジさんの笑顔も間違いなく最高。


ラーメンで至福の顔をする瑠香に岩城はまたふっと笑う。


出かける前まであんなに膨れっ面だったのに。


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