眠り姫の唇


突然の甘いキスに瑠香は戸惑いを隠せない。


いったい全体、どういった流れでこうなったのか。


「エプロンもそれなりにそそるな。」


エプロンか?!


エプロンが原因なのか?!


キスの合間に囁かれる悩殺ボイスに、すでに足腰がフラフラしてくる。

どうしてこの人のキスはこんなに直接脳にクるのだろう。


唇なんか毒にでもやられたようにしびれて感覚があやふやだ。

甘くて毒があるなんて…、私が中毒になってもこればっかりは誰にも責められないだろう。


瑠香はぼんやりする意識の中そんな事を考える。

「………っ」

ていうか、エプロンなんかしなければ良かった。


エプロンに呪いをかけながら、これからどうやって抵抗しようかと考え始めた矢先、ナイスタイミングでレンジがなる。



チーン



その間抜けな響きに岩城も唇を自然と離した。


瑠香はすぐさま岩城の腕からすり抜け、レンジに駆け寄る。



「ご、ご飯の解凍出来ましたー。すぐつくるんで待ってて下さいね。」



「…ああ。」



< 72 / 380 >

この作品をシェア

pagetop