気がつけば愛でした
物音にハッとして振り返る。そこには……
「しゃ、社長!?」
「あれ?律と静奈ちゃんじゃん。何してるの?」
スーツ姿の社長がキョトンとした表情で2人を交互に見ている。
「社長こそ…、帰られたのでは?」
静奈は驚きながら尋ねる。
社長は家の鍵を机に忘れたと話した。
「2人は?」
社長の問いにハッとする。静奈はともかく、営業の高柳が秘書課にいるのは明らかに不自然である。
大事な書類のある部屋だ。社長が高柳を見て変な誤解をしたら…。
そう思い、静奈は少し焦る。
どう説明すべきか考えていると、社長が「まさか…」と低い声で言った。
「え…?」
「まさか2人付き合ってるの!?」
「はぁ!?」