「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
「飲まないの?」


二人を訝しげな顔で見ていると、伊織がソファに体育座りをしながら首を傾げて尋ねた。


「俺、酒あんま飲めねえから」

「ふうん、見えない」

「そうか?」

「うん、千里はホストっぽい」

「…それって貶してる?」

「褒めてる」

「どこが」

「……わかんない」


じゃあ、褒めてねえだろ。それ。
ホストっぽいって言われて嬉しい奴、どこにいんだ。


「…だけど」


伊織は自分の足を抱き締めてから、膝にちょこんと顎を乗せる。
そして、片手にお酒を持つと独り事の様に呟いた。


「レンタル彼氏をするのにぴったり、に見える」

「……………」


言葉が出なかった。


伊織の回りだけ、時間が止まったかのように見えた。



「よく…わかんねえ、んだけど…」


そう途切れ途切れに尋ねると、

「俺もわかんない」

伊織はくるっとこっちに顔を向けてにこっと笑った。
< 85 / 302 >

この作品をシェア

pagetop