「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
この仕事をするのに、ぴったり?

どこが?
ホストなんて一生、やりたくねえって思ってたのに?


ましてや、体や心まで売るこの仕事が俺にぴったり?



…その日。
聖と、吏紀は飲み潰れて俺の部屋で寝てしまい、それを見た俺と伊織は終わりにするかと言ってお開きにした。


最後まで俺はさっき言われた伊織の言葉が残っていた。


「あ、千里」

伊織は俺の部屋を出る間際、何か思い出したかのように声を出す。


「何」

テーブルにある缶や、空いた袋を片付けながら返事をする俺。


「さっきの事だけど」

「さっきの事?」

「そう、レンタル彼氏をするのにぴったりっての」

「………ああ」


伊織はドアノブに手をかけてから、俺を見た。


「褒めてるから」

「……いいって、もう」


小さく溜息を吐きながら、伊織にそう返す。
それに伊織は、ははっと笑う。


「それじゃ、千里。その二人任せた」

「……ああ」


でかいいびきを立てて、寝てる二人を見て憂鬱な気持ちになる。
起こすべきか、寝かせておくべきか。


そんな事を考えるのすら煩わしい。


「俺なら廊下に投げておくね」


くすくすと笑った後、伊織は「それじゃ」と言って部屋を出て行った。
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